第2回すかいらーくグループCUP
ときどき、僕は幸せだなあと思う。
リーガエスパニョーラを見ようが、Jリーグを見ようが、同じように楽しめるのである。メジャーリーグを見たらもう日本の野球なんてかったるくて見らんないよねえ、などと思うことがないのだ。カバディの全日本選手権を見たり、ジュニアの柔道の体重別を講道館に見に行ったり、なにもかもおもしろがるのは、何の料理を出しても「美味いですわー」と言われるようなもので、やってる当人たちにとっては張り合いのないことなのかなあ、と思ったりもする。
そんな僕でも、退屈になりそうなときはある。プロレスなどでは「しょっぱい試合」などという表現をする、ぐずぐずな試合である。野球でいえば、初回に5点くらいポコンと入って、両チームの打者が集中力を失った、淡々とした試合なんかは、ちょっと僕の集中力もそがれる。
昨日、10月20日に駒沢体育館に、女子フットサル公式戦「第2回すかいらーくグループCUP」を見に行った。以前も、第1回の、この大会について書いたが、モー娘。など芸能人によるフットサルの大会である。今回からは趣向が変わって、トーナメントになった。サブタイトルに「炎のサバイバルトーナメント」とある。
出場はハロープロジェクトの大本命「ガッタスブリリャンチスH.P.」、サンズ所属で、ガッタスと並ぶ強豪「カレッツァ」、夏に行なわれた「冒険王リーグ」で優勝した「チャクチャク J.b(シュープ改メ)」、名将マリーニョ率いる若い「ファンタジスタ」、ホリプロ所属の「ザナドゥラブズNHC」、エイベックス所属の「チームドリーム」、ヤングジャンプからは「YJシュータース」、ヤングマガジンからは「ミスマガジン」、上記8チームがトーナメントに参加した。
そのほかに浅井企画の「アサイレッドローズ」、太田プロの「ヨツヤクローバーズ」、松竹芸能の「蹴竹G」がリザーブリーグとして総当たりの3試合を行なった。このうち、上位2チームとなったレッドローズと、クローバーズが、次回大会からトーナメントに参加することになる。
2チームが新たに参加する、ということは、2チームがトーナメントから落ちることになる。これが「炎のサバイバルトーナメント」の正体である。1回戦で勝ち残った4チームが準決勝に進む一方で、負けた4チームは入れ替え決定戦を戦うことになる。そこで敗れた2チームは、問答無用のリザーブリーグ降格だ。それがたとえガッタス、チャクチャクであっても、である。
トーナメントの直前に、公開抽選会が行なわれた。各チームキャプテンが、箱からボールを取りだし、中の数字の順番に、トーナメントのどこに入るかを決める。その結果、ガッタス、ファンタジスタ、チャクチャク、カレッツァの優勝候補4チームが同じ山に入るという事態になった。もちろん、この上位4チームからひとつ、降格チームが選ばれることになる。
第一試合はガッタスとファンタジスタ。ファンタジスタは、攻守にフル回転していた木村歩がチームを離れて、攻撃の形が一本調子になってしまい、見せ場を作れなかった。逆にガッタスは、スタメン起用された石川梨華から放たれる多彩なコーナーキックで、ファンタジスタ守備陣を翻弄、抽選会直後の第一試合という難しい状況を、3-0の完勝でのりきった。
第二試合はカレッツァ対チャクチャク。カレッツァはキャプテンであり、ゴレイロという精神的支柱の河辺瞳が、前回大会を最後にチームを離れた。一方のチャクチャクは、シュート力はリーグ随一の小由里、ファンタジックな攻撃を誇るチャクチャクを象徴するパサーの庄子知美、守りの要で貢献度も大きい青山愛子、小柄な身体にいっぱいのガッツを秘めたゴレイロの三宅梢子と役者が揃い、もはや両者は格違い。2-0でチャクチャクの勝利。
抽選会で、最初に場内を沸騰させたのは、マガジン主将の立花彩野。2番のボールを引いた立花は、トップを引いたYJの主将、松原渓が、トーナメント表にチーム名を掲げると、すぐ後に、敢然とYJとの「少年雑誌対決」を挑んだ。第三試合は、そのマガジン対YJ(ヤングジャンプ)。サッカー経験者で、力強い攻撃を見せる松原と、守備感覚が絶妙で、ゴレイロ時東あみとのコンビで敵の攻撃を封殺する立花の、キャプテン対決が試合を左右すると見られていた。しかし、試合を決めたのは新戦力の溝口麻衣。鉄壁の守備に攻撃力が加わったマガジンが勝利。
第四試合はザナドゥ対ドリーム。かつては一勝するのに汲々としていたザナドゥだったが、主将の安田美香が加わってからは攻撃力で勝負できるようになってきた。かたや、今、一勝を挙げるのに苦労しているのが、ドリーム。ザナドゥが先輩の貫禄を示すかと思われたが、ドリームの守備力は飛躍的に向上しており、接戦になった。1-0でザナドゥの勝利。
準決勝第一試合、ガッタス対チャクチャク、事実上の決勝戦とも言える組み合わせである。ガッタスは柴田あゆみ、里田まい、ゴレイロ紺野あさ美、チャクチャクは三宅、青山に山本早織と、両チームの守備が機能して、予想通り一点を争う好ゲームになった。試合を動かしたのは、初戦から武器となっていた石川のコーナーキック。遠いところから里田が合わせると、強烈なミドルシュートとなってゴール左隅に突き刺さった。さすがの三宅も反応できず、そのまま1-0でガッタス勝利。
準決勝第二試合は、調子のでないザナドゥのエース・安田に対して、マガジンの溝口は引き続き絶好調。マガジンは、中川愛海・中村優・加藤理恵・星野飛鳥・夏目理緒・西田美歩と、めまぐるしくフィールドプレイヤーを入れ替えながら、ザナドゥに主導権を与えないまま快勝。初の決勝へコマを進めた。
入れ替え戦第一試合は、カレッツァ対ファンタジスタ。組み合わせの妙というか、準決勝、決勝で実現してもおかしくないカードだった。しかし、最前述べたとおり、両チームともかつてのチーム力に比べると、はっきりと厳しい状況になっている。この試合も、よくファンタジスタも守ったが、第一戦で封じられた、カレッツァのエースで主将の小島くるみの個人技で2点を失い、陥落の憂き目にあった。
今大会の入れ替え戦で、個人的に言えば、一番「落とすのがもったいないな」と思ったチームが、ドリームだった。トーナメント抽選会の時は、いずれにしろ降格候補の一番手が、ドリームだと思っていた。これまで見た試合で、攻撃にしろ、守備にしろ、正直なところ、見るべきものがないような、ただ体を動かすのを楽しんで遊んでいるような印象を持っていた。しかし、敗れたとはいえ、今日の第一戦は、刮目に値する守備を見せたのだ。加えて、前線に張る高本彩の個人技は、フェイントを軽妙に使っていて、見ても楽しかった。ゴレイロの橘佳奈は、守備も安定していたが、それ以上に攻撃面で目立っていた。普通、ゴールクリアランス(サッカーで言う「ゴールキック」)は、投げて味方につなげるものだが、橘はただがむしゃらに前に向かって思いっきり蹴る。それが絶妙な軌道を描き、第一戦では、あわや直接ゴールの局面も生み出した。
ドリームとYJによって争われた、最後の生き残りの一席は、しっかりと守り合った末、0-0で終了し、3対3のPK戦にもつれこんだ。決着は、YJを支える松原のシュートを、橘が止めることでついた。YJは、前大会の、前二人(松原・KONAN)が攻め、後ろ二人(金井アヤ・吉川綾乃)が守るという戦術が、あまりに松原に疲労を残すということもあってか、吉川・金井も前線に顔を出していた。リザーブリーグ陥落は残念だが、向上の兆しも見せた。
悲喜こもごも、さまざまな試合を堪能した。そんな僕でも、退屈になりそうなときはある。プロレスなどでは「しょっぱい試合」などという表現をする、ぐずぐずな試合である。野球でいえば初回に5点くらいポコンと入って、両チームの打者が集中力を失った、淡々とした試合なんかは、ちょっと僕の集中力もそがれる。
この日の試合でいえば、ガッタスとマガジンによって行なわれた、決勝戦だろう。ガッタスが、柴田のゴールを守り抜き、1-0で勝利した。大会前から、キャプテン吉澤ひとみ、攻撃の要・是永美記の足の故障が不安視されていたものの、予想以上に攻撃の形に欠ける試合になってしまった。
吉澤は、閉会式でコメントを求められ、「負けて悔しいと思うこともありましたが、今日は勝って悔しい気分です。今日は優勝しましたが、もっとがんばって力を付けたいと思います」チャクチャクとの準決勝に勝利したことで、気が抜けたわけではないのだろうが、決勝戦が今一歩弾けきらなかったのは、吉澤と同じ思いだ。
途中、画面から重大な発表があった。JFAの川渕三郎キャプテンが現れ、高らかに「スフィアリーグ」の立ち上げを宣言したのだ。12月から始まって、東名阪を転戦して各地でトーナメントを行なうという。もちろん今大会と同様に2チームが昇格・降格する。
ミスマガジンが決勝まで勝ち上がり、チャクチャクは安定したチーム力に上積みを重ねる。チームドリームも可能性を見せつけ、昇格組のレッドローズは、夏の冒険王リーグでガッタスを下している。どこが優勝しても、どこが落ちても不思議ではない。今大会優勝のガッタスが、いつ足をすくわれるかも知れないのだ。


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